アメリカ旅行5〜ミュージアム〜

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 ニューヨークに戻ると旅も中盤。ここからは怒濤の美術館・博物館めぐり。WTCとアーリントン墓地でかなりショックを受けて、コミュニケーションの問題もあって、珍しく旅先で落ち込んでいた。ここからは回復の旅。

 今回訪れた博物館・美術館をまとめると。

  1. エリス島移民博物館
  2. 9/11 Tribute Center
  3. National September 11 Memorial & Museum
  4. グッゲンハイム美術館
  5. ニューヨーク市立博物館
  6. ナショナル・ギャラリー(ワシントン)
  7. スミソニアン航空宇宙博物館(ワシントン)
  8. メトロポリタン美術館
  9. MET Breuer
  10. ホイットニー美術館
  11. ICP (International Center of Photography)
  12. MoMA
  13. Getty Museum (LA)

なかなかなものでしょう。

 総じての印象は、とにかくアメリカ人は印象派が大好き!アメリカが力を持った時期と印象派の時期が重なるんだろうけど、ともかくどこに行ってもものすごい物量で、ルーブルやオルセーよりはるかにたくさんのそしてかなり選りすぐりの、セザンヌやマネやモネやドガやルノワールゴーギャンゴッホとかこんなに絵を描いてたのかってレベル。ルーブルルネッサンス絵画の物量を思い出す。1枚でも日本に来れば大騒ぎになるような絵が、もうありがたみがなくなるぐらい並んでいる。

 この印象派愛好ぶりはアメリカ人の芸術観に影響を与えない訳がない。ヨーロッパでは摩擦を生んだこの芸術運動は、アメリカでは素直に受け入れられ、まさに流れ込んできたのだろう。ここで思い浮かべるのは日本の中高年のおばさん達である。彼女達が印象派が大好きなのは、日本でもっともアメリカ的なものを何の抵抗もなく受け入れたのが彼女達だったからではないか、というようなことを考えながら、足が棒になりながら巨大な美術館をめぐっていた。

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 グッゲンハイム美術館は有名な画家の有名な作品がたくさんあるのはもちろんのこと、本当に「キマっている」作品しか展示されていなくて、さすがだなと思った。キャプションも適度に教育的で勉強になった。フランク・ロイド・ライトの建築も明らかに特異な構造なのに、自然さを感じさせる、「キマって」いた。特別展は中国の現代美術。巨大な刷毛をロボットで動かしてガラス張りの小部屋をペンキ(墨?)まみれにする作品は日本に帰ってからネットで話題になっているのを見た。

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 ニューヨーク市立博物館はニューヨークの街をテーマにした小規模の企画展をいくつもやっている。『Gay Gotham』展はニューヨークで活躍したゲイアーティストにフォーカス。メイプルソープの写真があった。ニューヨークのゲイタウンの発展の年表に沿って、年代ごとに。他の展示では、ニューヨークの都市開発の最近の状況をまとめた展示は、空中権とか容積率のやりくりでめちゃくちゃ細いビルが建ってる、とか。街に出るとそれが実際に見られるから面白い。その他、常設っぽいニューヨークの街の歴史的なもの、など。映像メインの展示もあったけど、時間がなくて見らんなかったな。

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 ワシントンではまずナショナルギャラリー。ここの目玉はダヴィンチの『ジネヴラ・デ・ベンチの肖像』。裏側にも絵があって、両方とも見られるようになっている。目玉なはずなんだけど、あんまり観ている人がいなくて、近くでゆっくり見られる。くっきりと、目に直接焼き付いてくるような質感は、ダヴィンチの作品の特徴がよく表れている。じっくり顔を寄せてみられる感じ。モナリザの展示のひどさからすれば、こんなに近くで見られるなんて信じられないくらい。ダヴィンチよりもやっぱり印象派の部屋が混んでいて、ここにもすごいコレクションの量。他には、ロムルスとレムスが狼の乳を飲んでる教科書に載ってるやつがあって「おっ」と思ったけど、結構いろんなところにコピーがあるらしい。ランチにスケートリンクがある隣の公園のカフェでランチを食べた。この公園も美術館の一部で、彫刻がたくさん展示されている。六本木ヒルズにあるクモの小さめのやつとか。

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 次はスミソニアン航空宇宙博物館。ここは完全にテーマパークで、3Dシアターとか、宇宙船の中には入れたりとか、月の石を触れたりとか。残念だったのは、スペースシャトルとかエノラゲイとか見たかったものが別の場所にある別館に展示されているそうで、見られなかったこと。それでも月面着陸船(月には行ってない機体だけど)とか、戦闘機がたくさんあったり、無人攻撃機とかもあったり。ソ連のミサイルとかも展示してあった。子どもがたくさんいた。

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 ニューヨークに戻って旅の後半は美術館めぐりをひたすら。まずはメトロポリタン美術館(MET)。この頃になると、ほんとに足が痛くって辛かったけど、それでもすごく楽しみにしてたので、膝にムチを打って世界屈指のメガミュージアムへ。やっぱり気になる古代ギリシャローマだけど、ここはやっぱり大英・ルーブルにはかなうべくもなく、正直たいしたことない。それでもちゃんと壺の部屋があって、ローマ時代のガラスはきれいなのがたくさんあった。ギリシャ時代のライオンが迫力があった。エジプト関連も物量はあるし、展示の仕方も面白い(お墓の中に入っていけたりする)んだけど、目玉に乏しい感じはある。作品がいつも小さいので、うっかり見逃しがちなフェルメールも発見(『水差しを持つ女』)。これでいくつ見たかな。ターナーも充実。そう、アメリカ人ターナーとか好きそうだと思ってたけどな。印象的だったのがドミニク・アングルのモノクロの肖像画。不思議と写実的な質感があって、写真の発明と前後して描かれていて興味深い。

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 そのあと、歩いてMET Breuer という別館に。ここは以前までホイットニー美術館だったところで、ホイットニーが移転したので、METが引き取ったという。マルセル・ブロイヤーというバウハウスの建築家の設計で、外観は目を引く感じだけど、中に入ると機能的な感じの建物。展示替えのタイミングで半分ぐらいのフロアしか見らんなかったんだけど、この建築家についての写真展と、もうひとつ別の写真展を見た。

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 翌日。MET Breuer の元の住民ホイットニー美術館は、マンハッタンの南西の海沿いに。レンゾ・ピアノ脱構築的建築。開放的なロビーでチケット売り場のお兄ちゃんもTシャツにジーンズでファンキーな感じ。ここでは、MPAというアートユニットのインスタレーション的な展示とか。火星に電話する、みたいな。もうアメリカ人は火星に逃げるしかないのか。あとはアメリカ人作家のポートレート作品を集めた展示とか。窓の外からマンハッタンを一望、天気があんまりよくなかったけど。

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 天気も回復してきて、そのあとはICPという規模の小さめな写真美術館に。ここではかなりはっきりとしたトランプ政権批判の展示。というか、企画展の名前”Perpetual Revolution”って「永続革命」だよね。おぉ、って感じですよ。社会問題のテーマ別に写真と映像が並ぶ。差別とか、環境問題とか、テロとかと並んで大統領選での社会現象が取り上げられていて、トランプ批判の有様を展示すると言うよりは、かなり直接的にトランプ批判を主張している印象。

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 そのあと中華街まで歩いて、地球の歩き方に載ってた店でマーラー麺的なラーメンを食べた、美味しかった。中華街に入った途端町並みがガラッと変わることはさることながら、アジア系のというか中国系の人しか街にいなくなって、横浜の中華街では味わえないチャイナタウンの凝集力を感じる。それからもうひとつ行こうと思ってたファッションの美術館は休館日で残念ながら断念した。

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 そして、ニューヨークで最後に訪れたのが、ニューヨーク近代美術館MoMA)。商業的にかなりプロモートされていることもあって日本でも一番有名なアメリカのミュージアムなんじゃないか。館内音声ガイド(iPhone)も日本語完備。場所も一等地にあって、めちゃくちゃ混んでる。行った時間も午後遅くでよくなかったのか、クロークに荷物を預けるのに大行列だった。工業デザインのメッカみたいな印象があったのだけど、たしかにイームズのイスとかジャガーEタイプとかも展示されてるんだけど、主体は絵画で、しかもわりと近代をしっかり見せる感じ。ご多分に漏れず印象派もたくさんあったのは意外だった。

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 というわけで、まずはウォーホルのキャンベルスープの前で記念撮影w。ダリの『記憶の固執』は初めて見た気がしない(亜美真美がこの絵の中に入っていた)。そのほかいろいろ、見たことある作品がこの旅で一番あったと思う。企画展示がロシアアヴァンギャルドで、これもよかった。一面マレーヴィチの壁があったり、映像作品は一部屋でいくつも見られて、時間のないツーリストにはありがたかった。最後にお土産売り場で買ったのは、見慣れたモンドリアン後期の四角が細かくなったやつ。タイトルが『ブロードウェイ・ブギウギ』だというのを初めて知った。前期の無機質さから、動的な明るさが見られるようになるという。アメリカに苦労して亡命してきた年老いモンドリアンにとっても、ニューヨークシティは音楽があふれる街であり続けたという、なんともアイラブニューヨークな音声解説が印象的。部屋に貼りました。

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 大英博物館ルーブル美術館、メトロポリタンと制覇したので、あとはエルミタージュとバチカンだと思っている。ラストはいよいよメインイベントに。