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横浜美術館 ロバート・キャパとゲルダ・タロー展

感想 写真 美術館
 この展覧会にあわせて、キャパの『崩れ落ちる兵士』が実は戦場を撮ったものではなく、それどころか本人が撮ったものですらないというドキュメンタリーをNHKでやっていた。

 ゲルダ・タローって誰だよ、って思ってたんですが、「ロバート・キャパ」は当初、彼女とキャパの共通のペンネームだったようです。彼女がスペイン内戦の従軍中に死んで、以降、「キャパ」はキャパだけのものになったと。『崩れ落ちる兵士』で有名になった彼でしたが、実はその写真は彼自身が撮っただけものではなかった。彼はそれを世の中に伏せることに決めるが、パートナーであったタローへのコンプレックスを抱え続け、『崩れ落ちる兵士』を超える写真を求め続けた。そのコンプレックスが彼をノルマンディーの海岸へ、そしてベトナムへと駆り立てていった。

 なんという見事なストーリー展開の展覧会でしょう。「キャパ神話の解体」という明確なテーマがあって非常に流れがわかりやすい。キュレーターが注目される最近の美術展にあって、こういう研究発表のような展覧会は時流に乗っている。写真集をめくっているだけではわからないことがたくさんあって勉強になった。でもなんとなく見方を強いられているようで窮屈な感じもする。

 タローは主にローライを、キャパは御存知の通りライカを愛用していたのだけど、NHKのドキュメンタリーでは、画角を分析すると『崩れ落ちる兵士』はローライで撮ったものだとわかるらしい。だけど、カメラ雑誌を見てると「このライカレンズの解像感が」「プラナーの独特な描写が」とか書いてあるじゃないですか。世界で一番有名な写真をそういうの書いてる人たちは絶対見てるわけで、それがライカのレンズなのかどうかとか、パッと見でわかるんじゃないんでしょうかね。わかんないんですかね。と少し疑問に思ったのですよ。少なくとも2枚並べてなんか違うな、ぐらい思いそうなものだけど。

 写真の大規模展覧会は珍しいので大事な機会です。いい勉強になりました。