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東京都写真美術館 『世界報道写真展2011』ほか

感想 写真 美術館
世界報道写真展2011』

 去年〜今年は世界中でものすごい天災が相次いで、その都度記憶から去っていったものを再確認。ニュースになっていて知っていたものも知らなかったのか、聞き流していたものもあるけれど、こんな事が起きてるんですよ!!という強烈な訴えをしてくる写真ばかりだった。日本の新聞やニュースでは見る機会のない、死体の山とか、腐乱死体とか、ちょっと滅入るような写真も多数。

 今年の大賞は、鼻をそがれたアフガニスタンの女性(キャプションによると耳も切り取られたらしい)のポートレート。女性への理不尽な暴力は海の向こうから身近なところまで常に問題になっている印象。この女性の視線は端的にいって強い、けれども、その強さがいったいなんの役に立ったというのか。世界がそういう風に出来ている、ということにむなしさを覚える。それでもなにも変わらなくてもいいと思うの?

 つらい写真だけだとつらいので、去年はオリンピックやワールドカップがあったのでした。そんなスポーツの写真(これも痛そうな写真だったけど)とか、ボリビアの謎のおばさんプロレスとか。おばさんプロレスは絵的にはかなりファニーなんだけど、なんかこう、彼女らを取り巻くつらい社会環境みたいなのを読まなきゃいけないのか、どうなのか。とりあえず笑った。

 去年は今でも覚えてるような印象的な写真が何枚かあったんだけど、それに比べるとインパクトは控えめ。死体多め、だった気がする。天災が一度にどれだけ多くの人の命を奪うか、それがどれだけどうしようもない状況なのか、が伝わる。天災、戦争、女性、都市化と人口過多、毎年わりとテーマは一貫している印象、毎年同じ問題で世界は悩んでいるということか。それでも毎年見応えがある、新しい見方が出来るようになる、そんな展示です。


『子どもの情景 戦争とこどもたち』

 30年代から最近までの戦争がらみの子供の写真を時代ごとに並べた展示。ユージン・スミスの洞窟から子供が出て行くやつとか、ブレッソン木村伊兵衛土門拳奈良原一高、などなど。戦災孤児上野駅で靴磨きしてるとか、タバコ吸ってるとか。彼らより少し年下ぐらいの年配夫婦が見に来てて、なんというか、とっても豊かそうでね。今の同じ境遇の子供たちにも、「大丈夫、50年後はきっと幸せだよ。」なんて残酷すぎて言えない。自分はかねがね年寄りは早く社会から退場すべきと思っているけれども、こういう子供たちが今余生を謳歌しているとしたら、と考えてしまう。きっと、実際そんなにうまく社会は出来ていないわけですが。


『ジョセフ・クーデルカ プラハ 1968』

 名前ぐらいは知ってたはず、どっかで写真集も見てるはず、たぶん。チェコ事件迫真のドキュメンタリー。一週間の出来事を時系列で、説明一切なしだけど、整然と戦車が入ってきて、やがてその戦車に火がついて、混乱を極めていく様子がひしひしと。歴史的な価値、あります、これは。見に行く価値あり。1960年代って、やっぱすごい。