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『No man's land展』@旧フランス大使館

フランス大使館が移転したので、空っぽになった旧館を取り壊し前にアーティストに貸して、
好き放題破壊、落書きさせてみようみたいな企画。
タイトルからもわかるとおり廃墟ブーム(はもう過ぎたのかな?)の影響を受けて、
関係性を喪失した場所という意識を感じる作品も多いけれど、
弩級の高級住宅地の間を迷いながら、高い塀に囲まれて2重か3重の檻みたいな門構えのどこどこ大使館を横目にたどり着いた身としては、とてもここが廃墟だなんて思えません。

小部屋、大部屋を、一人一部屋とか割り当てて、作品を展示したり、壁に直接描いたり。
若手のアーティストが多いのかと思っていたら、意外に有名人、大物も。
さすが大使館主催、エールフランスプジョーシトロエングループなどなど協賛で、
海外からの参加も多く、ますます廃墟っぽくないよ。
菅木志雄の作品を初めて生で見たかも知れない。おばさんが並んだ石ころをけっ飛ばして、
否、おばさんが言うには「誰かがずらしちゃったみたいだからなおしておかないと」。吹いた。
それぐらい乱雑で、オープンな展示スタイルは開放的で気持ちいい。

 延長された会期の最終日に行ったせいか、アーティスト本人がいる展示も。話が聞けて面白かった。神田サオリという、結構いろいろ大きな仕事もあるらしいのだけれど(あとから調べて、林明日香のCDジャケットの絵とか、いつかポケモンの主題歌歌っていたすごい声の、ああ!と。)、ごめんなさい初めて知りましたが、彼女の作品がいろんな意味で印象的だったかな。とてもきれいな人が部屋一面ペイントされたガラス張りの部屋にぺたっと座っていて、その人が作者自身なのですが、なんだか若干ズルい感じに「画」になっていて、で、しかもその部屋一面の躍動的なペイントというのはダンサーとかミュージシャンと一緒にライブパフォーマンスで描き上げたという。なんだかズルい感じである。作品の写真は作者のwebサイトやブログで見られる。この手のキャッチーな作品(いかにも商業ベースで受けそうな感じ)から感じる一種のうさんくささみたいなものをきちんとひとつひとつ評価して言葉に出来ないと、たぶん現代アートって理解できないのだと思うのだけれど、制作過程や彼女が美しいことも含めて、パフォーマンスとしての作品がとても意識的に構築された感じ。演劇の構築的な性質の必然性は今の自分のテーマに近い。つまり演劇には足し算しか出来ないんじゃないかという。ぜひライブを見てみたい。

 ちなみに、展示館内は写真撮影自由で、みんなおっきなカメラとか、ケータイとかを握りしめて撮りまくっていた。自分の写真はflickrにいくつか。「廃墟気取り」でもしないと、日本の美術館と観客は自分の視線を持てないということか。